「転職して間もないのに妊娠してしまった」と悩んでいませんか?
妊娠した喜びと仕事への不安が入り混じり複雑な思いをしている人もいると思います。そんなあなたへ、転職後1か月で妊娠発覚した看護師ボチナスから、使える制度や働き方のコツをお伝えします。
転職してすぐ妊娠したんだけど、産休や育休はとれるの?
クビになったらどうしよう。
ご懐妊おめでとうございます!
条件を満たせば産休・育休も取れるよ!
妊娠を理由とする解雇は法律で禁じられているから安心してね。
転職後すぐでも大丈夫!産休と育休について
転職後すぐに妊娠したからといって気に病むことは一切ありません。「職場へ迷惑をかけてしまった」「みんなよく思ってないだろうな」と落ち込んでしまう人もいると思いますが、妊娠は奇跡であり完璧にコントロールできるものではありません。むしろ喜ぶべきことです。
仮に、このことで悪口を言われたり、不当な扱いを受けるなどした場合は、長く働ける職場ではないので転職を考えた方がいいです。しかし、育休の関係で今すぐに辞めるのはお勧めできません。休職制度や手当も活用して無事に育休に入れるように解説します。
産休と出産手当金
産休は産前産後休業のことをいい、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間)から出産後8週間は休業する制度です。産前については、本人が希望し医師の許可がおりた場合は就業することができますが、産後休業は、原則として働くことはできません。この産休期間中の給料を補てんするものが出産手当金です。出産手当金を受け取るための条件は以下の3つです。
- 健康保険の被保険者であること
- 産休中に給与を受け取っていないこと、または産休前より給与が減少していること
- 妊娠4ヶ月以降の出産であること(流産を含む)
健康保険の被保険者であれば、雇用形態や加入期間は関係ありません。パートの方も就職後1年未満の方も受け取ることができます。
転職後すぐでも産休がとれるよ!
出産手当金もでるので安心してね!
育休と育休手当
育休とは、育児休業のことをいい、産休が終わった翌日から(パパは出産予定日から)子が満1歳(最長2歳)の誕生日を迎える前日まで取得することができます。育休の取得条件は以下にあげる1つのみです。
- 子どもが1歳6か月に達するまでに、契約期間が満了し、契約が更新されないことが明らかでないこと
令和4年4月1日より、取得条件が改正され、同じ勤務先で継続して1年以上働いていることという条件が撤廃されました。そのため、基本的には育休取得の申し出があった場合は、会社は原則として拒むことはできず、入社から1年未満でも育休を取得できます。
ただし、入社1年未満の労働者を育休の対象から除外する内容の労使協定が締結されている場合は、会社は育休の取得を拒むことができます(育児介護休業法第6条1項)。
この育休中に支払われる給付金が育児休業給付金(育休手当)です。育休手当を受け取れる条件は以下の4つです。
- 育児休業開始日前2年間に、11日以上働いた月数が12か月以上あること
- 育児休業期間中の1か月ごとに、休業開始前の1か月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
- 就業日数が支給単位期間(1か月ごと)ごとに10日以下であること(10日を超える場合は就業時間が80時間以下であること)
- 有期雇用契約の場合は、同じ事業主のもとで1根に状継続して働いており、かつ、子が1歳6か月に達する日までにその労働契約が満了することが明らかでないこと(該当者のみ)
正社員などの無期雇用の場合、同じ会社でなくとも、育休前2年間に12か月以上働いていれば手当がもらえます。しかし、再就職前に失業手当を受給した場合は、この期間はリセットされます。前の会社を退職後に、失業手当を受給したのちに今の会社に再就職し、就職後すぐに妊娠したという方は注意してください。
1年未満でも育休がとれることが多いよ!
会社によっては取れない場合もあるので、必ず確認してね!
妊娠がわかったらすること
次に、実際に妊娠した場合にやるべきことを解説します。
①上司への妊娠報告
妊娠が分かったらまず、上司へ報告しましょう。上司とは師長や事業所長などの管理職を指します。
報告するタイミングはできるだけ早い方がいいです。赤ちゃんの心拍が確認できたら、だいたい妊娠10週ぐらいまでに報告するのがいいでしょう。
この時、以下の内容を伝えるようにします。
・妊娠週数
・出産予定日、産休開始日(確定している場合のみ)
・現在の体調(つわりの程度など)
・免除してほしい業務(夜勤、おむつ交換、食事介助など)
この時に、勤務継続の意志と育児休業を取得したい旨を伝えます。
自分は育児休業制度を利用できるのかを必ず確認しましょう。
②スタッフへの公表
上司への報告が済んだら、他のスタッフへの公表について考えます。
安定期に入るまでは内緒にしたいと思う人も多いと思います。しかし、安定期に入るのは少し先です。それまでにつわりの症状が出ることが多く、例えば食事のにおいや、おむつ交換の時のにおいで吐き気を感じることも多いです。
また、おむつ交換や移乗動作などによる身体的負担や、放射線などがおなかの赤ちゃんに影響を与える可能性があります。これらのことをふまえて、安定期より前に他のスタッフへも周知し、業務の中で困ったことがあれば助けてもらえるようにしたほうがいいでしょう。
また、自分の意思とは反対に、上司に勝手に妊娠を公表されたり、公表を強要されるといったことは、マタニティハラスメントにあたる可能性がありますので、上司としっかり話し合うことが大切です。
③業務の引き継ぎ
自分が担当している業務がある場合は、早めに引き継ぎの準備をしておくことをおすすめします。
実際に産休に入るのはまだ先でも、いつ働けなくなるかわかりません。妊娠中は予想外のトラブルや急な体調の変化もたくさんあるので、急に休むことになっても他のスタッフが困らないようにしておくといいでしょう。
例えば、委員会の仕事や受け持ち患者のサマリーなど、できるうちに少しずつやっておくといいでしょう。
もう働けない!つわりや体がきつい時
看護師はどこの職場も忙しいですよね。
「休んで迷惑をかけたくない」「転職してすぐで、早く業務を覚えなきゃ」などと頑張っている方も多いと思います。
しかし、妊娠中の無理は禁物です。身体的な負担だけでなく、ストレスや精神状況もおなかの赤ちゃんに影響を与える可能性があります。
つわりがきつく何度もトイレにこもったり、お腹が張ったりと体調がすぐれない場合は、国で決められた制度を使って休んだり業務内容の変更の申し出を行うことができます。
1.産婦人科の先生に相談する
仕事をしばらく休みたい場合は、まず通っている産婦人科の先生に相談しましょう。どのような症状があるのかと、仕事を休みたいということを伝えます。先生は、妊婦さんの味方ですので安心して相談してください。
2.母性健康管理指導事項連絡カード/診断書をもらう
母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)とは、医師が妊婦に必要な対応策を記入して、事業主に伝えるためのツールです。男女雇用機会均等法に基づき書式が定められており、診断書と同じ効力を持つ正式な証明書類になります。母子手帳の最後の方に母健連絡カードが入っているので目を通してみてください。
この母健連絡カードを受け取った事業主は、内容に応じて適切な措置を取らなければなりません。一定期間の休職のほかにも、業務内容の変更、就業時間の変更や短縮、夜勤や残業の免除など、様々な対応が可能です。休みたくないという場合は、体に負担のかかる業務の免除や、時短勤務の申請などを行うことも一つの方法です。
3.休職した場合は傷病手当金を申請する
無事に休職できたら、次は傷病手当金の申請を行います。傷病手当金とは、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するための制度のことで、病気やけがのために貨車を休み事業主から十分な報酬を受けられない場合に支給されます。支給される条件は以下の4つです。
- 業務上の事由により病気やけがの療養のための休業であること
- 仕事につくことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事につけなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
つまり、医師の診断のもと、4日以上連続して休んだ場合に傷病手当金を受け取ることができます。傷病手当金は支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準月額を平均した額÷30日×2/3で計算される額が一日分として支給されます。だいたい給料の3分の2と考えておけば大丈夫です。傷病手当は最長で1年6か月受給できます。妊娠期間中まるまる休んでも大丈夫です。
傷病手当金の管轄は協会けんぽになります。協会けんぽのホームページから申請書をダウンロードします。被保険者が書く書類が2枚、会社が書く書類が1枚、病院の先生が書く書類が1枚の計4枚あります。会社が用意してくれる場合もありますが、そうでない場合は自分で用意して会社の担当者へ送付するなどして準備してもらいましょう。産婦人科の先生にも用意した紙を提出し記載してもらってください。
傷病手当金はすでに休職した期間について申請できます。
例えば、5月1日から5月30日まで休んだ場合は、6月1日以降に1か月分の申請を行うことができます。
申請後2種間程度で口座に振り込まれることが多いようです。申請先は住んでいる都道府県の協会けんぽになります。
郵送でも受け付け可能なので4枚の書類をまとめて協会けんぽ宛てに郵送すれば完了です。
休職期間中は無給だけど、税金や社会保険料の支払い義務はあるよ!
給料が、引かれる額より少ない場合は、逆に会社にお金を振り込む必要があるから、そこは注意してね!
産休・育休に入ろう
休職後、体調が戻り復帰して産休まで働くのが理想ですが、復帰できない場合でも、そのまま産休・育休に入ることができます。
休職したら育休手当が減る?
育休手当って、休業前6か月の給料から計算されるんだよね?
休職して給料なかったから、手当もかなり少ないよね?
月に11日以上働いた月だけをひと月としてカウントするよ!
それ以下の月を飛ばして6か月分さかのぼるから大丈夫!
育休手当は、休業前6か月の賃金をもとに計算されますが、10日以下しか出勤していない月はカウントされません。
例えば、1月~4月はフル出勤、5月6月フル欠勤、7月に16日だけ出勤、8月~10月フル出勤して11月から産休に入ったとします。この場合、育休手当に影響するのは、3,4,7,8,9,10月の6か月分ということになります。
育休手当のことを考えるならば、下手に12日出勤するとひと月としてカウントされ手当てが減ってしまう可能性があるので注意してください。
育休中の退職は可能?
育休中に退職することは可能です。また、育休手当の返還も必要ありません。しかし、育休前から復職する意思がないと意思表示していた場合は不可能ですので注意してください。
もしも、転職後すぐ妊娠をして育休をとり、復帰せずに退職となっても大丈夫です。会社から嫌なことを言われても、その人たちとは一生会わないので気にしなくていいです。そもそも、そのような会社では子育てとの両立はできません。自分を優先して選択してくださいね。
できるだけ働かない方法
私も、できるだけ公的に働かないようにといつも考えていました。これらの制度を利用して一番働かなくていい方法があります。
- 妊娠発覚後早い段階で、先生に診断書を書いてもらい休職する
- そのまま、産休・育休に入る
- 認可保育園に入所申請を行い、不承諾通知をもらう
- 認可保育園に落ち続け、2歳まで育休を延長する
この方法だと、3年弱くらい働かないことになります。妊娠発覚後早い段階で休職しそのまま産休に入ったとすれば、育休手当は夜勤をしていた時の給料が反映されるのでむしろ多くなる可能性もあります。保育園問題は自治体によって違うので何とも言えませんが、最長で2歳まで延長できるのでうまく活用するのも一つの手です。
転職するなら
育休後転職を考えている場合は、注意してほしいことがあります。それは保育園問題です。
認可保育園では、保護者の就労状況が入園の可否に影響します。復帰してすぐに転職した際、労働時間の短縮などの変化があった場合は退園しなければいけないケースもあります。
また、仕事復帰してからの毎日はあわただしくとても転職活動に専念できる環境ではありません。もともとすぐに転職をしたいと考えているなら、復帰前の転職をおすすめします。
子育て中の看護師さんでも求人はたくさんありますので安心してください。
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