施設看護師に興味があるけど、どんな仕事をしているの?そもそも住宅型有料老人ホームってどんな施設?といったよくある疑問を、看護師4年目で住宅型有料老人ホームに転職した私の経験談を解説します。
・病棟を離れて施設看護師になりたい!
・住宅型有料老人ホームに興味あるけど、実際はどんな感じなの?
スキルアップはできる?
結論から言いますと、住宅型有料老人ホームの看護師は、訪問看護師にあたります。
施設によりますが、点滴や人工呼吸器管理などの看護技術を必要とします。
急変は少なく、日々の業務はルーティーン。残業もほとんどなく、ゆったり働きたい人やママナースにもおすすめです。
・訪問看護に興味があるけど1人で在宅訪問するのは不安という看護師さんにおすすめ!
・経験年数が少なくても、十分に働けます。
有料老人ホームとは
高齢者が入居し、以下のサービスのうちいずれかの入所定員を提供している施設です。
・食事の提供
・介護の提供
・家事の供与
・健康管理の提供
有料老人ホームは、「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類に分けられます。
入居対象者や受けられるサービスの違いは以下の通りです。
種類 | 介護付 | 住宅型 | 健康型 | |
---|---|---|---|---|
入居対象者 | 自立 | △ | 〇 | 〇 |
要支援 | △ | 〇 | ✕ | |
要介護 | 〇 | 〇 | ✕ | |
主なサービス | 身体介護 | 〇 | △ | ✕ |
生活支援 | 〇 | 〇 | 〇 | |
医療的ケア | 〇 | △ | ✕ |
住宅型有料老人ホームでの業務内容
私が実際に働いていた施設での業務を紹介します。
利用者はパーキンソン病やALSなどの神経難病の方がメインで、自立している方から寝たきりの方まで様々でした。
また、以下に示すもの以外に、定期往診の対応や物品発注などの業務もあります。
○訪問看護
居室に訪問し看護計画に基づきケアを行います。日勤帯での訪問時間は1人30分~1時間で、1日7~10件まわります。
・全身状態の観察(バイタルサイン測定・酸素管理・人工呼吸器管理・喀痰吸引・バルーン管理など)
・セルフケア援助(整容・口腔ケアなど)
・処置(軟膏塗布・褥瘡ケア・創傷ケアなど)
・点滴(末梢点滴・CV管理・ポート管理など)
・栄養管理(経管栄養・血糖測定・インスリン注射など)
・リハビリ(ROM訓練・歩行訓練・散歩など)
・環境整備(清掃など)
○介護業務
シフトで多いのは介護業務でした。ナースコール対応もあります。
・おむつ交換や入浴介助
・食事介助や補水、補食
・洗濯物の収納や回収
住宅型有料老人ホームで働くメリット・デメリット
メリット
- 訪問看護を学べ、いつでも助けを呼べる
- 1人での訪問が多く、自分のやり方やペースでケアできる
- 残業がなく、プライベートの時間を確保できる
訪問看護を学べ、いつでも助けを呼べる
訪問看護に興味はあるけど、1人で家に行ってケアを行うのは不安があるという方もいますよね。
住宅型有料老人ホームでは、訪問看護でありながら、居室は施設内にあるためいつでも応援を呼ぶことができます。
1人での判断やケアをする不安を抱くことなく、訪問看護計画書や報告書などの書類作成、訪問の仕方やケアの方法などの訪問看護の基礎的なことをしっかり学ぶことができます。
在宅に興味があるけどハードル高いなという方にもおすすめです。
自分のやり方やペースでケアできる
訪問は基本的に一人で行います。ケア内容もほとんどルーティンのことが多いです。
慣れてくれば、自由にやり方やペースを組み立てられます。
常に先輩にみられて緊張することもないし、先輩のやり方を押し付けられることもありません。
一人で黙々と働くことが好きな方にもおすすめです。
残業がなく、プライベートの時間を確保できる
利用者の入れ替わりや状態の変化は少ないので、前残業で情報収集をする必要はありません。
また、訪問時間は決まっており、急変も少ないので、残業になることはほとんどありません。
プライベートを優先したい方や、子育て中のママさんにもおすすめです。
デメリット
- 介護業務が多く体力的な負担がある
- 毎月作成する書類がある
- 限られた物品でのケアや処置が必要
介護業務が多く体力的な負担がある
訪問看護を行う看護師以外は介護業務となります。入浴介助やおむつ交換に加えて、車椅子移乗なども頻繁にあり、身体的な負担も大きいです。私も妊娠中はできないことも多く、訪問看護業務のみにしてもらうようお願いしました。
毎月作成する書類がある
訪問看護では、訪問看護計画書、訪問看護報告書という書類を毎月作成し主治医、家族、ケアマネージャーに送付する必要があります。自分の担当の利用者が2~3人いるので、利用者分を作成します。この書類作成業務が苦手という方もいます。
限られた物品でのケアや処置が必要
例えば点滴物品や褥瘡処置に使用するドレッシング剤、軟膏類など、ほとんどの物品はかかりつけのクリニックより処方されます。ルート確保に失敗しても予備の物品が無限にあるわけではありません。物品が足りない場合は主治医に処方依頼をかけもってきてもらう必要があります。また、ガーゼやテープ類など一部処方できないものもあります。その場合は家族に依頼し、準備してもらう必要があります。
住宅型有料老人ホーム看護師のやりがい
実際に働いて感じたやりがいは、利用者一人一人に寄り添えることです。
病院のように入院期間が決まっているわけではなく、長期的に関わることができます。
信頼関係を築きながら、看護師と患者の関係というよりも、人と人の関係でかかわることができます。
居室内や生活スタイル、必要な援助もそれぞれで、その人に合った方法で介入することができます。
特に神経難病の方などは回復することはありません。しかし、その人らしい生活を維持できるように介入したり、その人が望む形で最期を迎えられるよう工夫したりすることができます。
こんな人におすすめ!
- 訪問看護を経験したい人
- プライベート重視の人
- 自分のペースでゆったり働きたい人
給料はどれくらい?
有料老人ホームで働く看護師の給料は、夜勤ありで働く場合は年収450~550万円のところが多いようです。
また、正社員としてだけでなく、パートや派遣で働く看護師も多くいます。
私が働いていたところは、住宅型有料老人ホームで、正社員・夜勤5回/月で年収が550万程度でした。
だいたいの手取りが月40万前後です。(賞与なしでした)
妊娠して、日勤のみで働いていたときも、月の手取りは30万程ありました。
また、育休復帰後パートで戻りましたが、時給は2,000円でした。
訪問看護になるので、他の求人を見ても給料は少し高い傾向にあります。
また、施設内訪問看護なので、「移動時間は時給はでません」のようなことは、ありません。
出勤している間しっかり時給が発生するので、効率的に稼ぎたいパートさんにもおすすめです。
転職する際のポイント
住宅型有料老人ホームへ転職を考えている方に、選ぶ際のポイントを解説します。
- 利用者の疾患や受け入れている医療ケア
- 施設全体に清潔感はあるか
- スタッフの年齢層と雰囲気
- 育児休暇取得実績や、ママナースがいるか
①利用者の疾患や受け入れている医療ケア
利用者の疾患やADLを情報収集することで、必要な知識や日々のケアをイメージすることができます。また、施設によって受け入れ可能な医療ケアは異なります。人工呼吸器や喀痰吸引が可能かどうか、認知症の方を受け入れているかなどを確認するといいでしょう。
②施設全体に清潔感はあるか
清掃が行き届いている施設は、スタッフの働きやすさや利用者の過ごしやすさを考えられていると言えます。
例えば事務所や棚などが整理されているか、トイレや各居室は綺麗かなどを確認するといいでしょう。
③スタッフの年齢層と雰囲気
施設看護師の平均年齢は40代前後のところが多いです。特に20代の方は同世代のスタッフがいると安心だと思います。
また、施設ではオープニングから長く働いている看護師さんも多いです。スタッフ間のパワーバランスが偏っていないかなども人間関係においては重要となります。見学した時に、雰囲気が明るいか、挨拶をしっかりしてくれるかなど、スタッフの雰囲気を確認するといいでしょう。
④育児休暇取得実績や、ママナースがいるか
これから妊娠・出産を考えている看護師さんや、ママナースの方は、こちらも確認必須です。
看護師の仕事は妊娠中の体にはかなり負担になります。これまでに妊娠した看護師さんがいなかった場合は、業務内容の配慮が不十分な場合があります。介護業務や夜勤の免除が可能かの確認をおすすめします。また、現在子育てをしながら働いている看護師さんがいる場合は、どのような働き方ができるか、休みがとりやすいかなどを確認するといいでしょう。
住宅型有料老人ホームまとめ
住宅型有料老人ホームは、訪問看護のことを学べて医療処置もあるので、看護技術も維持しつつ病棟よりはゆったりと働きたい人におすすめの職場です。残業も少なめなので、プライベート重視の方や、ママナースも働きやすいと思います。
病棟を離れたい、訪問看護に興味があるという看護師さんは、ぜひ候補に入れてみてはいかかでしょうか?
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